情報セキュリティ

営業秘密のツボ 2023年6月21日 第84号

公開日:2023年6月21日

営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をお届けして参ります。

巻頭メッセージ

一般社団法人電子情報技術産業協会
法務・知的財産部会長 熊崎 寿

まずは皆様に、この「営業秘密のツボ」や「営業秘密官民フォーラム」を通じて、営業秘密の管理や保護に関する様々な情報をいただいていることに、この場を借りて感謝申し上げます。

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)は、デジタル産業における業界団体として、当業界と日本経済の発展のため、事業を推進しております。経済成長と課題解決を両立する豊かな社会であるSociety 5.0の実現をミッションに掲げ、社会のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、カーボンニュートラルなどの社会課題解決、競争力強化、及び、市場創出に取り組んでおります。

JEITAの法務・知的財産部会では、データの利活用促進を重要テーマの1つと位置付け、公正な競争環境の確保や経済安全保障を踏まえたデータの不正取得対策等についても検討を進めております。会員企業がグローバルに事業を進め、人材が多国籍化し、経済安全保障の観点での取組の重要性が増す中、「営業秘密官民フォーラム」における官民での情報交換の場や「営業秘密のツボ」で最新の情報を共有頂けることは大変意義深いと考えております。

今後も、JEITAは産業と産業のつなぎ役として幅広い産業の会員企業と連携し、課題解決や競争力強化、共創による新たな市場創出に取り組むことで、世界に先駆けたSociety 5.0の実現とともに、日本経済のさらなる活性化、そして未来の社会や暮らしに貢献してまいります。

目次

1.訴訟・判決コラム:弁護士知財ネット

弁護士知財ネットからの「訴訟・判決コラム」は、今回はお休みです。
過去の掲載記事は、弁護士知財ネットのウェブサイトをご覧ください。

2.サイバーセキュリティ対策

1.Microsoft 製品の脆弱性対策について(2023年6月):独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

2023年6月14日(日本時間) Microsoft 製品に関する脆弱性の修正プログラムが公表されました。これらの脆弱性を悪用されるとアプリケーションプログラムの異常終了や攻撃者によるパソコンの制御等、様々な被害が発生するおそれがあります。 攻撃が行われた場合の影響が大きいため、早急に修正プログラムを適用して下さい。
詳細は重要なセキュリティ情報ページをご確認ください。

2.情報セキュリティ10大脅威 知っておきたい用語や仕組み:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

パソコンやスマートフォンでインターネットを安全に利用するために必要な対策を実施する上で、知っておきたい用語や仕組みをいくつか抜粋し、わかりやすく説明しています。 詳細は「情報セキュリティ10大脅威 知っておきたい用語や仕組み」のPDFをご確認ください。

3.セミナー・イベント等のお知らせ

1.「はじめての「営業秘密管理」」研修動画:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)では、大切な秘密情報を巡るよくあるトラブル事例や、営業秘密として管理する手法についてまとめた研修動画を、当館のeラーニングサイトIPePlatに公開しております。
営業秘密について学びたい、これから営業秘密管理に取組もうという方向けの内容で、無料でご視聴頂けます。
動画は「はじめての営業秘密管理」よりご覧いただけます。

4.営業秘密関連情報のご紹介

1.JPCA-Show2023で講演を実施しました:公安調査庁 経済安全保障特別調査室

公安調査庁は、6月1日、東京ビッグサイトで行われた一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)主催のJPCA-Show2023(5月31日~6月2日)において、技術等の流出防止をテーマとする講演を実施しました。講演では、我が国で発生した機微な製品や技術、知的財産等の流出につながる具体的な懸念事案を紹介し、これに巻き込まれないためのポイント等について言及しました。また、当庁のブースも出展し、経済安全保障に関するパネル展示や資料の配布を行いました。
当庁では、技術・データ・製品等の流出防止に向けて、企業や大学、各種業界団体等の皆様に対する講演会や意見交換を実施しております。経済安全保障に係るご相談や講演依頼等がございましたら、窓口 psia-es@i.moj.go.jp までお気軽にご連絡ください。

2.技術情報管理認証の取得などをサポートする専門家を無償派遣します:経済産業省 安全保障貿易管理課

 経済産業省は、産業競争力強化法に基づく技術情報管理認証制度の認証取得を目指す事業者等を対象に、情報セキュリティの具体的な取組方法のアドバイスや、認証取得の支援を行う専門家を無償で派遣する事業を実施しています。 なお、予定枠が埋まり次第募集を打ち切る場合がありますので、派遣を希望される方は、早めの応募をお願いします。
詳細は「技術情報管理認証制度 専門家派遣事業ウェブページ」をご確認ください。 

3. 不正競争防止法等の一部を改正する法律の成立と公布について:経済産業省 知的財産政策室

 2023年3月10日に閣議決定された「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が同年6月7日に可決、成立し、6月14日に法律第51号として公布されました。今回の改正では、さらなる営業秘密・限定提供データの保護強化を実施しています。

  • ビッグデータを外部と共有するサービスでデータを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し、侵害行為の差止め請求等を可能にすること
  • 損害賠償訴訟で生産能力を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求可能とすること
  • 国外において日本で事業を行う企業の営業秘密侵害が発生した場合にも、日本の裁判所に訴訟を提起でき、日本の不正競争防止法を適用可能とすること

等が盛り込まれています。
詳細は特許庁のウェブページをご覧ください。

4.「技術情報管理 自己チェックリスト」のご紹介 :経済産業省 安全保障貿易管理課

経済産業省は産業競争力強化法に基づく技術情報管理認証制度の基準をもとに、中小企業や専門知識がない方でも自社の情報セキュリティ対策の状況を確認し、必要な対策を把握できる「技術情報管理 自己チェックリスト」を公開しております。
情報セキュリティ対策をなにから始めればいいか分からずお悩みの方は、まずは自己チェックリストを経済産業省ウェブページからダウンロードして、自己診断してみましょう。
技術情報管理自己チェックリストのダウンロードは、技術情報管理自己チェックリストのウェブページをご確認ください。

5. 御社の商品や商標、海外で盗まれていませんか?: 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)

今までに、海外市場に進出しようと調査した企業様より以下のような相談がございました。

  1. 自社製品の偽物が一般の市場やECサイトに流通している。
  2. 自社商標が既に海外企業に取得され、販売ができない。

それどころかそうとは知らずに進出した結果、「商標権」等を登録していた海外企業から逆に訴えられるというケースもございました。ジェトロではこのような被害にあわれた方を支援するために、次のような事業を行っております。
1.海外の模倣品被害を何とかしたい方は、模倣品対策支援事業のウェブページをご覧ください。
2.海外企業に自社商標を先取出願された方は、冒認商標無効・取消係争支援事業のウェブページをご覧ください。
3.外国企業から警告状が届いた、訴えられた方は、防衛型侵害対策支援事業のウェブページをご覧ください。

  • 応募受付期限:2023年10月31日 火曜日 17時
  • 予算が無くなり次第応募受付を終了いたします。
  • 採択までの審査等にお時間を頂きますので、お早めにご応募ください。

問い合わせ先
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)知的資産部 知的財産課
担当:山内、田中、川西、宮平
電話番号:03-3582-5198 
Eメールアドレス:SHINGAI@jetro.go.jp

6.技術流出の防止に向けたウェブページ、動画、パンフレットのご紹介:警察庁 警備局外事情報部外事課 経済安全保障室

皆様の企業・研究機関にはどのような技術情報がありますか?
技術流出の防止には、「情勢」・「事例」・「対策」の理解が欠かせません。この度、警察庁公式サイトに特設ページ「技術流出の防止に向けて」を開設し、技術流出に関する情勢、リスクのある具体的事例「3つのS」 と題した企業や個人が取るべき対策などをわかりやすく説明しています。動画やパンフレットも掲載されていますので社内研修等に御活用ください。
「技術流出の防止に向けて」のウェブページから事例、動画、パンフレット等をご覧ください。

7.「知的財産推進計画2022」について:内閣府 知的財産戦略推進事務局

 内閣府知的財産戦略本部において、政府における知財戦略や知財施策を取りまとめた「知的財産推進計画2022」を公表しています。「知的財産推進計画2022」では、営業秘密に関する施策についても掲載されています。
詳細は 知的財産推進計画2022(PDF)をご確認ください。

8.「秘密情報の保護ハンドブック」及び「情報管理も企業力 秘密情報保護ハンドブックのてびき」を配布しています:経済産業省 知的財産政策室

不正競争防止法の講義等において、不正競争防止法の概要をはじめ、秘密情報の保護ハンドブックや同ハンドブックのてびきの紹介・説明をさせていただいております。
これらの資料は、経済産業省ホームページからダウンロード可能です。また、ご希望の方には、冊子をお届けすることも可能でございます。社内研修等での活用をご検討いただけますと幸いです。
詳細は「冊子の送付について」のウェブページをご確認ください。

9. データ利活用に関する資料を公表しております:経済産業省 知的財産政策室

不正競争防止法では、限定提供データに関する規定を設けております。企業が保有・活用する「情報」を営業秘密と相互補完的に守る枠組みです。
知財室では、データ利活用に関する資料をウェブサイトにて公表しておりますので、ご活用いただけますと幸いです。

  • 「限定提供データに関する指針」
  • 「データ利活用のポイント集」
    • データ利活用の留意点を網羅的に説明した詳細版で、データ利活用のQ&Aや企業の成功事例を載せた冊子です。
  • 「データ利活用のてびき」
    • データ利活用のエッセンスをまとめた概要版で、データ利活用に取り組み始めたい方向けの冊子です。
  • 「データ利活用の事例集」
    • データ利活用のポイント集を基に企業のデータ利活用の事例を詳細に記載した事例集です。データ利活用を始めたいが何から始めて良いかわからない、データ利活用においてどのような点に気をつければ良いか等の疑問をお持ちの方はぜひご覧ください。

10.「スタートアップ社長inサバンナ」!独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)

世界初!?
厳しいビジネスの世界をサバンナに例え、ネイチャードキュメンタリーさながらに、サバンナで生きるシャチョー(スタートアップ類)の大切なアイデアや技術を“捕食”されないよう、知的財産の重要性を啓発する動画になっています!!
YouTube動画はINPIT(インピット)Channel「スタートアップ社長 in サバンナ」(ナレーション:森田成一)からご覧ください。
また、「INPIT(インピット)のスタートアップ支援!」のウェブページも併せてご覧ください。

11.営業秘密保護PR動画(ショートドラマ&解説動画)を公開中です:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)

トップセールスでうっかり・・・、取引先からの要請に答えたら・・・、展示会でアピールし過ぎて・・・、など営業秘密で陥りがちな失敗とケーススタディをYouTube動画で公開中です。
「わが社の営業秘密は大丈夫かな?」とちょっと思った方!必見です。
YouTubeで公開中の動画

第1弾 【この話、自分には関係ない本当にそう】トップセールスでのうっかり
第2弾 【取引先からの思いがけない提案】苦渋の判断が生んだ悲劇
第3弾 【会社総出でアピールしたら】展示会の落とし穴 

12.「不正競争防止法テキスト2022」を公表しております:経済産業省 知的財産政策

不正競争防止法のテキスト最新版を、知財室のページにて公表しております。

また、不正競争防止法について説明会をしてほしい!などのご要望がございましたら、知的財産政策室までご連絡をお願いします。
知財室員がご説明に伺います。

13.営業秘密・秘密情報管理、知財戦略のFAQ:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)

独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)が運営する「知財ポータル」にて、「取引先から我が社のノウハウの提供を求められている。どうしたらよい?」といった、営業秘密管理におけるよくある質問を一問一答形式のFAQとしてとりまとめています。
詳しくは営業秘密・知財戦略よりご覧ください。

14.「営業秘密・知財戦略相談窓口」をご活用ください:独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT:インピット)

 知的財産戦略アドバイザーが企業の実情に合わせた秘密情報の管理体制(例えば、書類・記録媒体の管理方法、電子データの管理等)の整備をご支援いたします。 地方自治体や中小企業支援機関が主催するセミナー・講演会、中小企業における社内研修等への講師派遣も無料で実施しており、ご好評いただいております。是非ご活用ください。
お問い合わせは「営業秘密・知財戦略相談窓口」のサービス概要をご参照ください。

事務局のつぶやき

今月の知財室

いつもつぼマガをご愛読いただきありがとうございます。経済産業省知的財産政策室でございます。

先日、休日に近所の銭湯に行ったところ、隣にいた方が「ここだけの話だけど・・・」ということで、実は来月あたりに銭湯が値上げをするらしいとの情報を教えてくださいました。
銭湯の値上げ情報は単なる噂話ですが、情報が営業秘密であった場合には、この銭湯にいた方のように「ここだけの話だけど・・・」と他の人に話してしまった場合、営業秘密の漏洩となってしまう場合があるので常日頃から注意をしたいところですよね。

さて、知的財産政策室では不正競争防止法の改正に向けて準備を進めておりましたが、先日無事に成立いたしました。本法案では、営業秘密の保護強化も1つの柱としており、今後より多くの
みなさまに制度を知っていただけるよう周知を図っていきたいと思います。
「つぼマガ」第84号をお読みいただき、ありがとうございました。

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お問い合わせ先

発行/編集:営業秘密官民フォーラム

事務局

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